客人日記

どんどんたのしい

鉄道写真

手を怪我した。思つたより傷が深く、数週間は不自由の身となつてしまつた。

 

さて、以前も書いたが、私は鉄道畑からきた。

その頃の写真をふと見返すと、やはり普通ではなかつたやうだ。

当時、師匠に付いて色んな所で色んな列車を撮つた。

 
f:id:penpengrass:20180809205430j:image

 

師匠の構図とサンニツパで。中学の頃、FEやミノルタα7700iを引つ提げて早朝、赤川鉄橋に通つたものだ。


f:id:penpengrass:20180809205855j:image

 

DD51と雪柳。折り返し列車を失敗したので、次の週もまた来たが、刈り取られてしまつてゐた。


f:id:penpengrass:20180809210149j:image

 

紫陽花とキハ181はまかぜ。晩年のキハ181を追ひかけて、師匠と播但線を駆け巡つた。


f:id:penpengrass:20180809210424j:image

 

同じく晩年の余部鉄橋

霧のたち込める谷に幽玄におぼめく赤い大鉄橋。潮騒が山や霧に反響して、谷間の集落を神聖な、まるで神話のやうに幽く、気高い神気を帯びて包み込んでゐた。

遠く列車の音が山に谺して、ゆつくりと近づいてくる。フアインダアを覗く。暗闇に浮かぶ風景に意識が沈み込んでゆく。身体をしつとりと包む潮騒と、遠く響く列車の音、潮風に撫でられさざめく青田の囁き、全てが混ざりあつて音楽となり、私はこの心地よい緊張に酔ひしれた。

レリーズのあとの深呼吸は、全身に染みわたった。この感覚の為に、私は鉄道写真をやつていた。

f:id:penpengrass:20180809213444j:image

と、まあ美文の真似事をしてみた。

赤川には本当によく行つた。そして色んなことを試した。


f:id:penpengrass:20180809213556j:image

 

DD51赤川鉄橋(人道橋)ももうない。ヂーゼルエンヂンの唸りと排気の匂ひ、どよめく鉄橋、列車が巻起こす風、昨日の事のやうに思ひ出す。


f:id:penpengrass:20180809214816j:image

 

私の撮つた中では最高の鉄道写真だ。

茹だるやうな暑さの中、わんどに立つてミノルタα7700iと列車を待つた。当時愛用していたPRO400らしい青だ。これ以上の鉄道写真は私にはもう撮れまい。

α7700iもグリツプがボロボロ剥がれてしまつて、もう使へない。プラスチツク製品の宿命か。