客人日記

どんどんたのしい

渾身の一枚 スワローエンゼル FOMAPAN

動力逆転器が押し込まれ、リンクが後進へ入る。ブロワーが止まり、ブレーキが開放されエアーが抜けてゆく。

発車!のかけ声と共に、鋼鐵の咆哮が轟く。そのどよめきは空間を反響しながら、まるで地響きのように私の身体を突き上げる。

加減弁が力強く引かれ、夕陽に鈍く光るまっ黒い生き物がゆっくりと動き始めた。

 

現役の頃とは程遠い、弱いドラフト。やけに勢いよく出るドレン。かつての東海道の英雄も耄碌したか。

 

レリーズのタイミングは決めていた。

動き始めた直後、ドレンを切る時。機関士はドレンを確認する。ここしかない。

数mの後進を計算に入れ、窓に夕陽が反射する瞬間。


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私が間違っていた。

プリントには確かに、東海道の英雄の雄々しい姿が焼き付いていた。その風格は今なお、そしてこれからも、消えることはないだろう。