客人日記

どんどんたのしい

渾身の一枚、と、もういっちょ 大井川鐵道

西陽が強かに川面に照りつけている。

小春日和というには、些か強すぎる夕陽だ。

全てのものが黄金色に輝き、川原に三三五五散らばる人たちは、じっと列車を待っている。私も相棒、Nikon S4を首から提げて、ぼんやりと時を待っている。

 

遠く、山あいを谺して汽笛が聞こえた。

カメラを持った人々に、俄かに緊張が走る。私も、もう一度露出とピント、構図を確認してレンズを太陽から背ける。

踏切が鳴りだした。小気味良いドラフトが近づく。今度ははっきりと汽笛が響き、木の陰から機関車が飛び出した。

鉄橋のガーターがごろごろと唸り、列車はゆっくりと川を渡る。白い煙と水蒸気がきらきらと辺りを舞い、見るもの全てが輝く。

ファインダーを覗いて、時を待つ。


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目もくらむ陽光にはっきりと、確かな鼓動が影となって浮かび上がった瞬間、コトリ、シャッターは切られた。

機関車はまた木の陰に消え、淡い白煙がたなびきながら、余韻とともに溶けてゆく。

 

まだだ!この余韻を逃すんじゃない!

声が聞こえたように思った。私はまた、慌ててファインダーを覗いてシャッターを切った。


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ごろごろと音を立てて列車は過ぎ去った。

 

ふと視線を落とすと、私の手の中でNikon S4が、眩いばかりの夕陽に照らされて、満足げにぴかぴかと輝いていた。